非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

雀の涙ほどの収入でさえ、国や政府にかすめ盗られている。

毎週土曜日だけ行っているテナントビルの清掃に、新しい清掃の男の人が来た。
男性の矢代さんが責任者だが、新しく来た田岡さんもそのテナントビルの常勤の清掃員になるそうだ。
矢代さんが休んだ時は田岡さんが代わりになる。
小柄ではないがそんなに背は高くなく痩せている。
パッと見は若そうだが、笑うと目尻にしわが寄り、歯がボロボロで、昔シンナーをやっていた人のような歯並びである。
30半ばか40前後かもしれない。
話を聞いてみると、前職も清掃で責任者だったが、勤務時間がめちゃくちゃなので、体力的にキツく、辞めてしまったという。
今は清掃の仕事の募集は男でも多い。
男の清掃の募集は正社員であることが多く、さらに責任者募集になるようだ。
責任者といえば聞こえはいいが、結局のところ1日10時間以上勤務の完全なブラックである。
その上夜勤や早出、中番など、シフトがいろいろである。
田岡さんはこのテナントビルの募集以外にも清掃の会社を受けたが、そこでは責任者になって欲しいと言われたので断ったそうだ。
30代の男ならブラック企業でも正社員の募集はあるのか、と関心して聞いていた。
矢代さんや田岡さんは現場勤務なので、基本的には週休2日制で一日の労働時間は8時間と決まっている。

ブラックバイトが話題になっているが、さすが社会人、年を取ってくると、ブラック企業は選ばなくなるんだな、と妙に感心して聞いていた。

ところが本社勤務の営業の人達は毎日12時間労働である。
清掃の現場は大体6時半ぐらいから始まるので、現場に顔を出したり、あるいは担当の現場の清掃員が休みだと、営業が来て清掃したりする。
現場が終わって本社に顔をだし、事務や連絡業務を行って営業周りに行くと、戻りは夕方である。
その後事務処理などをしていれば結局退社時間が6時7時になるので、気がつくと12時間労働していたことになる。
一般の営業職で、朝9時から夜9時まで残業、というのはよくある話だと言われてしまう。
100時間は多い方だが、80時間ぐらいなら普通で、勤務時間がある程度固定化されていれば体は楽だろうという。
ただ、清掃や外食、コンビニや警備の仕事のように24時間体制でシフトが朝、昼、夕方、深夜勤と勤務時間がいろいろになると体が持たないという。
矢代さんも田岡さんもそういう働き方はごめんで、さらに収入もほどほどでいい。
矢代さんは政治にも興味がなく、新聞もほとんど読まず、テレビもニュース番組は見ない。
もちろん選挙に一度も行ったことがなく、今のほどほどの生活に満足している。
ガツガツ働かず、仕事より週2日の休みに近場の温泉へ日帰りか1泊の旅行にいくのが楽しみである。
だから将来もらえる年金が目減りしていることに気がつかない。
そのうち矢代さんの息子が徴兵で取られる時代がくるかもしれない。
ほどほど生活できていれば、政治になど興味がなくても世の中回っていると思っている。
しかし、もう火のまわりが足元まで来ている。

サラリーマンの人達は、自分の身が安泰ならば一日80時間や100時間の残業時間でも平気でいられるんだろうか。
企業と個人で社会保障費は折半だが、目減りする年金に不安を感じないんだろうか。

私は最近では雀の涙ほどの非正規労働者の収入でさえ、国や政府に税金をかすめ盗られているように感じられてならない。