非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

 キリンの子 鳥居歌集 鳥居

どうするんだ、日本。
とうとうこういう子が日本に出てきてしまった。


短歌集「キリンの子」の帯には

目の前での母の自殺、児童養護施設での虐待、
小学校中退、ホームレス生活 −
拾った新聞で字を覚え、
短歌に出会って人生に居場所を見いだせた
天涯孤独のセーラー服歌人・鳥居の初歌集。

となっている。

鳥居歌集は東京新聞で取り上げられ、話題になり、この歌集は落合恵子氏が書評欄でも取り上げていた。


やさしい歌もあるが、つらい歌、苦しい歌、哀しい歌、きびしい歌が多い。

歌の背後にある作者の人生に思いをめぐらすと、その凄惨さに言葉を失う。


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植物はみな無口なり自死できず眠ったままの専門病棟

目を伏せて空のびゆくキリンの子 月の光はかあさんのいろ

ゆっくりとうすく光を引き伸ばし銀のひかりで切るセロテープ

ほんとうに楽しみだった誕生日 砂糖のように家はくずれた

あおぞらが、妙に、乾いて、紫陽花が、路に、あざやか なんで死んだの

水たまりとは雨の墓 もう二度と戻れぬ空をくらく映して

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幼いころに目にした母の自殺。
そして、親友が電車にはねられて自殺するのを目撃。
自身も自殺して死にきれなかった。

常に自分の身近にある死。
私が驚いたのはこの歌だった。

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就職は数十年後も生きていて働きますと交わす約束

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働くことは生きること。
でも、一体自分はずっと生きていくことができるのか。
今の人たちにとって、こんなに生きていくことが困難に思う世の中になったのかと、驚いたのだった。