非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

いやな感じ

見えないところで、でも確実になんとなく自分の生活がじわじわと何かに浸食されているような気がする。

どうもこの世の中はおかしいと思うようになったのは、非正規労働者になってからで、なんだか自分の人権が踏みにじられている、というか、「え?私?なんかモノ扱いじゃないか?」
と思ったことである。
ずっと正規労働者で働いてきたので、その落差があまりにも激しかったからだ。
どこが?と言われてもうまく説明できない。
毎日仕事をしていて、そういう不快さがじわじわと押し寄せてきた感じである。
その職場はなんと職員の半数が非正規労働者だったので、同じ階級のおばちゃんに何気に言うと、
「ここはこういうところなんですよ。」とこともなげににこにこして言われたのだった。

とてもびっくりした。
そして、非正規の職員はハラの中では「こういうところ」とこの職場をみんなバカにしていた。

杉山春氏の「虐待」という本は、シングルマザーが子供を置き去りにして死亡させてしまう、という事件の背景を丹念に取材したノンフィクションだが、その中で「今の派遣や風俗の子たちは、自分がモノ扱いされていても平気である。」という記述に驚く。

ずっとそういう扱いをされていると、人間はそういうものだと思ってしまうのだろうか。

秋葉原の無差別殺人をした加藤智大は非正規労働者だったが、事件の当日、仕事場に行くとロッカーに自分のつなぎがなかったという。
それで「辞めろってか」とカッとして、犯行に及んだ。
加藤は契約打ち切りに脅えていたという。
契約打ち切りは、派遣会社の借り上げているマンションを出ていくことを意味する。
当時の加藤の賃金は会社が借り上げていたマンションの住居費を差し引かれてもろもろの生活費を支払うと、手元に残るのはごくわずかだっだ。
貯金などとてもできず、自力でアパートを借りることはできない。
だから、失職すると自分の住むところがなくなることを意味する。
無差別殺人は、ただそこにいた人たちの命を意味もなく奪ってしまったわけで、これは許されるものではない。
しかし、加藤智大の生育歴を知ると、虐待としか言いようのない母親の仕打ちに愕然とする。
こんなふうにしか生きられなかった加藤が哀れでならない。

湯浅誠氏が書いた「反貧困」では、貧乏と貧困とは違うと書いてある。
貧困には溜めがなく、その「溜め」とは、
1.金銭の溜め
2.人間関係の溜め
3.精神的な溜め
であると言う。

一方、鈴木大介氏の「最貧困女子」では、貧困とは低所得に加えて、3つの無縁、3つの障害から貧困に陥ると書かれている。
3つの無縁は
1.家族の無縁
2.地域の無縁
3.制度の無縁
だと言う。

困った時に支援してくれる家族・親族がいない。
苦しい時に相談したり助力を求められる友人がいない。
社会保障制度の不整備、認知度の低さ、実用性の低さのことである。

一方3つの障害は
差別論にも繋がりかねないので慎重を要するが
精神障害発達障害・知的障害」
である。

こうした最貧困女子たちは世の中では可視化されていない存在だが、そうした彼女たちが行きつくところがセックスワークである。
鈴木氏はこうした彼女たちに実際に会い、取材し、見えづらい、わかりづらい、面倒くさい彼女たちを忘れないでほしい、見捨てないでほしい、見下さないでほしいと訴える。
今の日本は、報道されなかったことは知らなかったこと、なかったことにされてしまうことが多い。
この本を読むと、日本は世界第三位の経済大国とはとても考えられない。

見えない貧困層がものすごい勢いで増えている。
学費や生活費のため、あるいは奨学金を返すために真面目な女子学生が性風俗の仕事をするのは有名な話である。
キャバクラや水商売のように接客したり、お酒を飲んだりしないので、限られた時間だけ拘束されるだけだからだ。

日本では、子供の6人に1人が貧困である。
それで、政府は子供の貧困対策として、民間の財団法人「子供の未来応援基金」を創設し、寄付を募るそうである。
しかし、一般の人に寄付を募るのではなく、子供の貧困対策をするのが政府なのではないか。

図書館を地方自治体が運営するのをやめて、民間に丸投げすることが多くなった。
経費を削減するのが目的なのだろうか。
私のよく行く区立の図書館も、たぶん半数かほとんどが非正規労働者だと思われる。

図書館運営を蔦屋が行ったケースがあり、館内はスタバができたり、商業施設のようになり、来館率がupされたそうである。
しかし、蔵書の分類がめちゃくちゃで、なぜこの本が?という本や必要だと思われる本がそろっていなかったりした。
さらに、分類方法がめちゃくちゃで、「女工哀史」が「エッセイ」「技術書」の欄で、「ああ野麦峠」が「エンターティメント」「労務管理」に分類されていた。
すると、「蟹工船」は「料理・エッセイ」とかに分類されているんだろうか。

図書館は金儲けではない。
図書館は文化だと思う。
それをビジネスに結び付けて、図書館運営をするべきではないと思う。

二子玉にある家電蔦屋も店内は書籍販売のコーナーがあり、植物が売られ、カフェが併設されている。
ここは本屋なのか?と思われる違和感。
本屋は本屋でいいんである。
この違和感は本の雑誌の浜本氏もWeb本の雑誌に書いてあった。
本は東京では八重洲BOOKセンターとかジュンク堂とか、駅前の本屋で買えばいいんである。
ジュンク堂渋谷店では、民主主義フェアが中止されてしまったが、何故だろう。

安保法で徴兵制になるのではないかと問題になったが、政府は自衛官が派兵されると説明されている。
自衛官の雇用は、期間限定の非正規労働者の「任期制隊員」と「非任期制隊員」と呼ばれる定年まで勤められる正規労働者に分けられる。
「任期制隊員」は、18歳から27歳までの若年隊員を確保するために募集されている。
期間は陸自は2年、海空は3年で、任期満了で満期金という慰労金が支払われる。

家庭の事情で大学進学を断念せざるを得ない若者が大学進学のため、あるいは生活のために自衛官に志願するケースが増えるだろう。
しかし、安保法で意に沿わない地区へ派遣されたり、任務に就くケースもふえてくるのではないか。
海外派兵した自衛官の自殺が多いのが問題になっている。

一方、正規労働者である非任期制隊員である一般曹候補生の希望者は2割減っている。
民間の求人増が影響と防衛相は伝えているが、安保法の影響がないとは言い切れないだろう。

山本太郎氏もたしか、今年高校卒業の男子生徒の自宅に自衛隊募集のパンフレットが送られてきたと国会で問題にしていた。
2ちゃんねるでは「赤紙きたーーー」と書かれていたそうだ。

政府のやっている政策はどう考えても非正規労働者を増やすことしか考えていないように思える。
私は非正規はなくならなくてもいいと思う。
非正規が嫌なのではなくて、非正規の差別と低賃金が嫌なのだ。

自殺者が毎年3万人を超えて増えていたのがここ数年下げ止まり、といわれている。
しかし、それでも年間3万人近い人間が自殺している。
自殺は遺書があった場合に限られているが、遺書のない死亡は不審死としてカウントされる。
そして、不審死は年間18万人もいるんである。

対岸の火事だと思っていたら、すでに自宅2階が火の海だったとか、気が付いたらすでに床下浸水になっていたとか、今の日本はもうそんな状態になっているのかもしれない。