非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

値踏みする

自分でもよくないと思うのだけど、自分と同世代の女の人を見ると、ついつい値踏みをしてしまう。
たとえば、その人の持ち物、バッグとか化粧ポーチとか、ハンカチとか。
たとえば、その人が身につけているもの、洋服や靴、アクセサリーとか。
たとえば、その人の顔のシミやしわ、化粧の仕方とか。
その女の人の持っているバッグや洋服が、どんな材質のもので、よく言えば使い込んだ、悪く言えば相当くたびれたものを使っているな、とかついつい見てしまう。
その女の人の顔をしげしげと見て、大きなシミがあるな、とか、しわが多いな、とか。
そのうえ、化粧の仕方までチェックしてしまい、せっかくマスカラをつけているのに、マスカラがダマになっているな、とか。
口紅がひと昔流行ったピンクの口紅で、小さい薄い唇にぼんやりちまちまと付けているな、とか。
そんなことはその人の人格や人間性には関係ないのに。
若い頃は人の持ち物や化粧を気にすることはなかったのに、どうして年を取ってそんなことを気にするようになったのだろう。
若い頃、中年というより老婆に近い、やけに赤い口紅をつけた占い師に、「あんたは普通の子じゃないね。」と目を細めてぢっと値踏みをするように見られたことがあった。
若かった私はまわりの大人たちに値踏みをされていたのに、私は気がつかなかった。
そして、私は人を値踏みすることもなかった。
いくつかの職場を転々としているうちに、だんだんその会社の中での自分の立ち位置というものがわかってくるようになった。
特に小さい会社では、一般事務職の女子社員は能力もさることながら、経営者や上司から気に入られる、ということが大事になる。
だんだんと世の中は平等じゃないんだな、ということに気がついたのだ。
もっと愛想よくするようにとか、時にもっとうまく男の人に甘えなさい、とまで言われた。
そういえば、そこは女の武器で、というようなことも言われた。
世の中はまさにバブル真っ盛りで、そのおこぼれで私も少しいい思いをしたこともあったが、結局そういうのに私は長けてなかった。
社会性がない、と言ってしまえばそれまでだが、そういうことにも気がまわらなかったし、多分気がついてもできなかったと思う。
だからこのざまなのか。
この年になって非正規労働者になってみると、もっと露骨に自分は値踏みされている、と感じることが多くなった。
非正規労働者が値踏みされるのは、この人間は使える人間かどうか、ということ、使い捨てなのでこの程度でいいと値踏みされるのだ。
値踏みされている私が、いつの間にか無意識に人を値踏みするようになり、自分と人を比べるようになってしまった。
上の人間がこの人間は使える人間か、将来有期の社員にしようかと値踏みし、さらにその先に定年までいられる正規社員にしようかと値踏みする。
上の人間が人を値踏みして、優秀な社員を集めて、社員が必死になって仕事をしていても、仕事は常にトラブルだらけで、恐ろしく非効率で、去年よりもサービスがさらに劣化している。
それはどうして?