非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

はじまり

最初は11年務めた会社を辞めて、失業保険が尽きた時に2ヵ月の短期のアルバイトとして働き始めた。
仕事はただ書類の製本づくりで、スポット的に違う仕事もしたが、1ヵ月もしないうちに製本の仕事はなくなってしまった。
あとはだらだらと事業所に行き、毎朝「何かやることはありますか?」と聞いて、その日言われたことをやる、という日々だった。
実を言うと、これが一番嫌だった。自分の仕事がない、というのは20代でまだ入社間もないとか、若いうちなら我慢もできるだろうが、これがこの年になってこんなことになるとは、と自分でも情けないと思った。
しかし、そうこうするうちに2ヵ月で契約が切れるときに、短期ではなく有期(1年)の契約社員になってしまった。
その経緯もすごくおかしいが、ここでは話が長くなるので省略する。
とにかく2ヵ月のアルバイトが翌年の3月までの契約社員と言えば聞こえはいいが、体のいい有期のアルバイトになった。
仕事の内容は最初の2ヵ月の短期の時よりも少しはましになったと思いたいが、結局は自分の仕事と呼べるものは今でもなく、あくまでも人の仕事の補助的な作業にすぎない。
この職場は同じ職場で働きながらも実は社員の階級が細かく分かれており、あらゆるところで差別される。
たとえば社員でも定年まで働ける社員と有期の社員、これを仮にAとBに分ける。
AとBの仕事の内容はほぼ同じで、ボーナスは出る、ただしBの社員の退職金は出ない。
さらにAの社員は組織の中枢に行くことはできるだろうが、Bの社員は有期の使い捨ての社員である。
これは私が言ったわけでもなく、Bの社員が自分で言ったのだ。
Aの社員の募集が不定期にあり、Bの社員が応募して採用されればAの社員になれる可能性がないわけではない。
しかし、募集に応募しても募集したBの社員が全員Aの社員になれるわけではない。
Bの社員の日々の働き方や素行など、能力や年齢を考慮して採用されるわけで、詳しいことはわからないが、Aの社員になるのはむずかしいらしい。
ところがさらにこの社員の下に非正規労働者といって、私のような有期の契約社員、アルバイト社員がいて、このアルバイト社員もCとDに分けられる。
最初、私はDの短期アルバイトだったのが、1年契約のCの契約アルバイトになった。
しかし、Dであっても1年契約で何回も契約更新をして、ずっと働いている人もいるわけで、微妙に違うようで結局のところ、たいして違わないような気がする。
日給も10円しか変わらないのだ。
一つの職場でA、B、C、Dとランクを細かく分けられ、そして座席表もそのランクによって色付けされた座席表を人が移動する度にしょっちゅう配られる。
あるCランクの社員は「ここはカースト制で」といい、他のCランクの社員は「私たちは日雇いだから契約書に書かれている仕事だけすればいいのよ」と言ったりしていた。
要するに余計なことはしない、言わないのが無難だ、ということらしい。
CとDはあくまで補助的な仕事なので、仕事も専門的な研修などは受けられないし、限られた情報しか与えられない。
毎日ひっきりなしにかかってくる苦情や問い合わせの電話に主に出るのは、CとDの非正規労働者の仕事である。
電話回線は少なく、部署ごとの専用回線がなく、ランダムに電話がかかってくるので、事業所全体の仕事を把握していないと、電話はたらい回しになってしまうし、専門的な質問に対して正しい回答をしているとは限らない。
実際に不明な点を聞くためにわざわざ電話をかけてくれているのに、こんなことでいいのか、と思うことも少なくないが、部署によっては自分の仕事が忙しいので、電話に全く出ない社員も少なくない。
どんなに電話が鳴り続けようが全く出ようとしないばかりか、むずかしい質問や苦情にも積極的に出ようとしない社員も少なくない。
まあ、言ってみれば人件費を浮かせるために細かく人を差別して働かせているんだろう。
しかし、非正規労働者に面倒な単純労働を押しつけて、社員だけ専門的な仕事をやらせれば事務所が回ると思っているのかもしれないが、結果は著しいサービスの低下、効率の低下、さらに評判や信用を著しく落としていることに他ならない。
最初はこういう職場で働くことに大きな違和感を持ち、行き場のない怒りや悲しみを持ったが、今はもう少し客観的にこの職場を見てもいいかと思うようになった。

非正規労働者の日記は続きます。