非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

完全失業

とうとう完全失業してしまった。
といっても、7月の末にはスポーツジムの掃除のバイトは辞めたんだから、もうかれこれ1ヵ月以上働いていない。
厳密に言えば、7月の末で完全失業である。

そして、今日先月分の最後のバイト料が振り込まれた。
これが最後の収入である。

日本の失業率はアメリカほどではない、と言うが、この数字は本当だろうか。
私のように失業してはいるが、職安に行ってもどうせ職などないとあきらめている人や、本当は正社員として働きたいが、職がないので不本意ながら非正規労働で働いている人が多いのではないかと思う。
そして、生活できないので非正規でダブルワークしている人も多い。

収入の道を絶たれた割には、外注で人を募集していたりする。
すると、7、8人の募集があったが、その中には通常は勤めているが、収入が減ったのでアルバイトしたいので募集した、という人もいた。
そういう人は応募の文面も通り一遍で、とりあえずバイトしたいんで、という気持ちが透けて見える。
本業でフリーで働いている人の真剣さは確かにないが。

正規労働者が減って、非正規労働者が増えた、と統計上は言われている。
しかし実態は、正規労働者でさえ生活が苦しいか、生活ができないのでバイトをしたい、と言う人が増えているんである。

バイト料が入ったので、久しぶりに美容院に行った。
住宅街の目立たないところにあるその美容室は、普通の美容院より値段が少し安く、そして夜遅くまでやっている。
ここの美容師は、普段はフリーで働いていて、あいている曜日や時間帯だけ来て働いている。
聞いた話では、雑誌やポスターなどのヘアやメイクなどをやっているスタイリストが多いらしい。
それで、いつ行っても同じ美容師がいるとは限らないし、辞める人も多い。

今日、顔見知りの店長が、むずかしい顔をしながらパソコンを見ていた。
そして、携帯でひっきりなしに電話をしている。
どうも予約の入っていた美容師が、急に辞めてしまったらしい。
「キャンセルなさいますか、それとも他の美容師でもよろしいでしょうか。」
と、電話越しに丁寧で、愛想よく話している。

だが、私が来た時、店長は機嫌が悪く、愛想がよくなかった。
急にスタッフが辞めたのはそれなりの理由があるのかもしれない。
しかし、この店長は感情の起伏が激しく、それが言動に表れやすい。
そして、スタッフに対しても来客に対しても、人の扱いが雑なんである。
だから、人がコロコロ変わるのは、店長の雑な扱いが、下で働いている人たちは嫌になるのかもしれない。

今までは人に興味がなかったので、自分が人からどう見られているか、とか、人が自分に対してどういう感情を持っているかなんて全然気にしたことはなかった。
何かあった時に、
「え、私ってこんなふうに思われていたのか。」
と、ショックに思ったりしていた。
自分自身を客観的に見る、ということができなかったのだ。
回りの人たちは、さぞ不愉快な思いをしてきたのではなかったか。

ところが起業してみるとそういう訳にはいかない。
少ないメールでのやり取りでも、人それぞれの反応が違い、この人はどういう人なんだろう、と思うようになった。
仕事というのは、人とのつながりで成り立っていたのだ。

ある人が書いていたが、起業する、というのは自分でリスクを負うこと。
そして、人に思いやりを持つことだ、と書いてあったが、本当にそのとおりだと思う。

完全失業してみて、はじめてそれがよくわかった。