非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

となりの宗教

バイト先の清掃の現場で、やっとアルバイトが見つかった。
本社の営業部員がずっと朝早くから清掃の仕事をしていたので、決まってホッとしているようだ。
バイトの人は本社の経理部長の知り合いで、秋本さんという女性だ。
50代ぐらいで、化粧けがまったくなく、白髪の目立つゴワゴワした天然パーマで、後ろでひとつに無造作に束ねている。
真面目だが融通がきかず、気がきかないのでイラッとすることが多い。
しかし、担当営業の人は、
「あの人はいいねぇ。
雑で早いのがいい。」と言う。
清掃の仕事は時間が決まっているので、あれもこれもと真面目にやると終わらないので、決まった時間までに仕事が終わらない、と言って辞めてしまう人もいるのだ。

秋本さんは、経理部長と知り合い、というのは同じ新興宗教の団体に入っている、ということらしい。
そんなに親しい、というわけでもなさそうだ。

その宗教団体は、中堅どころ、と言っていいのかわからないが、創価学会ほど大きくはないが、多分名前を聞けば、漠然とみんなが知っているような宗教団体だ。

私がその宗教団体について聞くと、
「私、あんまり詳しくないんですよ。
死んだ親が入っていたから、お墓の管理があるので私が入っているだけで。」
と言う。
年会費だか、月会費は100円だそうだ。
経理部長は壮年会の部長だが、支部の壮年会の部長だからそんなに偉くない、と言う。
しかし彼女も年に数回は当番が回ってきて、本部だか支部だかに手伝いには行くそうである。

ある支部では、安倍首相の自宅があり、広報誌とか新聞を配りに行くと、安倍首相や昭恵夫人、さらに安倍首相のお母様が出てきたりするそうだ。
寄付は渡せないので、昭恵夫人の実家の森永のお菓子をいただく、と言っていた。
森友学園には100万円の寄付を渡しても、この宗教団体には寄付は渡さないのだろうか。
安倍首相は否定しているので、寄付はしていないかもしれないが。

「じゃあ、日本会議ともつながっているんですか?」
と聞いてみると、
「さぁ、私、あんまり活動の中身とか、教えとか、知らないのよ。」と言われてしまった。

少し前に読んだ、青木理の「日本会議の正体」という本を読むと、日本会議の成り立ちや活動方針、実態などがかなり詳しく書かれていた。
その本によると、日本会議明治神宮を頂点とする日本全国の神社、さらに創価学会以外の日本の主だった新興宗教の組織がすべて網羅されているという。
そうした神社や宗教団体からの豊富な資金源と会員数は、私たちの知らないところでかなりの金額や人数になっているらしい。
創立時の事務方のメンバーは、今は袂を分かった生長の家の人たちで、そのメンバーが今でも日本会議の運営に関わっているので、運営が円滑に行われているんである。
現に、武道館で日本会議の1万人の集会には、きちんと各新興宗教団体ごとにバスを連ねて、1万人が集客されたらしい。
その整然と1万人きっちり集客された現場を見て、青木理はその手際の良さに驚いたと、日本会議の正体の中で書いていた。

森友学園問題で、一般の人たちにも日本会議という団体は注目を集めるようになった。
しかし、名前は知っていても、正体や活動方針を知っている人はまだ少ない。
一般の人の知らないところで、日本会議は着実にいろんな運動をしている。
憲法改正100万人署名も、100万人分の署名を集めたらしい。
運動の仕方は、かつての日本の左翼運動を手本にしたそうだが、その手本にした左翼はいつの間にかいなくなってしまったという。
ある時twitterを読んでいたら、地方で草の根運動をしていると日本会議とか自民党と何処かで必ずつながるそうである。

日本人は、特別宗教に関心がない、と言われているが、本当にそうだろうか。

学生の頃、クラスに何人かは創価学会員が必ずいたはずで、バイト先でも何人かいた。
だから学校を卒業しても、クラスであまり親しくなかった人や、同窓だ、ということだけで、創価学会員の人が選挙になると家に訪ねてきたり、電話がかかってくることがたまにある。
また、平日の昼間や休みの日に、家に突然キリスト教関係の宗教団体の人がパンフレットを持ってくることがある。
そういう人には、失礼にならないようにパンフレットを受取り、帰ったら見ないでそのまま即座に破り捨ててしまうことにしている。
さらに、自宅付近にはいくつかの新興宗教団体の支部があり、今はあまり見かけなくなったが、太鼓を叩いて歩いている集団がそういえばいたりした。

私は特別信仰している宗教もなく、だからどのような宗教団体にも属していない。
しかし気がつくと、案外こうした新興宗教に入っている人たちは、私が思っているより、ずっと多いのかもしれない。
バイト先の秋本さんのように親が入っていた、というだけでさほど信仰心はなくても宗教団体に入っている人もいるのだ。

こうした新興宗教の団体の加入者数と言っていいのかわからないが、入信者数は、多分バカにならない。
そして、そうした新興宗教は、日本会議とつながり、それが自民党支持層と重なっている。

知らないうちにいろんな人が新興宗教に入っている。
その新興宗教に入っている人たちは、自分たちの会費がどのように使われているか、どの政党とツルンでどんな政策を推進しているのか、知っているのだろうか。