非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

プレミアムフライデー

「残業時間上限が100時間が妥当」とか経団連の会長が言っているが、一般の労働者のほとんどは「ふざけるな」と思っている。

プレミアムフライデーとか言って、月末の金曜は3時に退社して消費を喚起させようというのが狙いらしいが、実際に本当に帰った人は3パーセントぐらいだったそうだ。
これは会社の規模と比例していて、大きい会社ほど早く帰れるが、末端の中小、零細企業に勤めている人は帰れるわけがない。
そして、ネットを見ていたら残業をする理由は「残業代がほしいから」「仕事が終わらないから」である。
いくら金曜に早く帰るように言っても、残業代はもらえない、仕事も終わらないので、帰れないのである。
さらに正社員ならいざしらず、非正規労働者は3時に帰ったらその分時給は支払われないので、帰るわけにはいかない。

今の清掃のテナントビルは、1階から6階まであり、朝6時半から10時までである。
そして、各階に会社が入っているが、この各階の会社はどう考えても全部ブラックである。

テナントビルは、大きなターミナル駅から徒歩数分の大通りから一本入ったところにあり、わりと大きなビルなので、賃料もそれなりにすると思われる。
入っている企業は知名度のある企業であったり、ゲームソフトを制作している会社であったりする。

ある階の会社は建築現場の作業員の派遣をしているらしい。
だから朝6時半には土木作業員の服装をした作業員が続々と来社してくる。
派遣社員がきて、その日の作業現場をこの会社の社員が斡旋している。
そのため社員が朝6時半以前には会社に詰めているらしいが、そのフロアの掃除機かけをしているもう一人の清掃の人に聞くと、よくフロアの奥の方で寝ているそうだ。
常に泊まり込みの社員がいて、さらに男性トイレには大型の洗濯機が置いてあり、たまに洗濯もしているらしい。
全員が泊りがけで仕事をしているわけではないが、やはり労働時間に負担のかかっている社員はいるんである。

他の階も似たりよったりで、よく奥の会議室で寝ている人がいるという。

ビルが大きいので、トイレもゆったりと作られている。
そして、そのトイレの洗面台で泊りがけの社員が顔を洗ったリ歯を磨いたり、髭をそっていたりする。
他の階では、備え付けのハンドソープで髪の毛を洗っているので、洗面台がハンドソープで汚れている。
中国にいた頃、よく高級スーパーのトイレの洗面台で髪の毛を洗っている女の人がいたが、気がついたら日本も中国並みになったのだろうか。
その頃の中国は、ガス、水道がまだ各家庭に整備されていなかったので、そういう公共の施設で平気で洗濯や洗髪をしていたりした。

社員全員が長時間労働をしているわけではないが、ある一定の社員はやはりブラックな働き方をしている。
これが日本の企業の実態だと思う。
仕事が終わらないのか、人が足りないのか、生産性が低いのか、社員の仕事の配分に偏りがある、ということなのか。
経営者が無言のうちに労働者に長時間労働を強いているのは、労働者が長時間労働に異を唱えないことをいいことに人件費を抑えたいからだろう。

今の清掃の現場は、どんどん人が辞めていく。
この現場は基本的には2人1組で清掃をしていく現場で、シルバー人材センターから紹介されたサキタさんが辞めた後、60代の小柄な女性の新井さんが来たが、彼女も2月3日に白内障の手術のために辞めてしまった。
本当は春先に手術する予定だったので、それまではこの現場にいる予定だったが、思ったより症状が進んでいたので、これ幸いと辞めてしまったのだ。

新井さんが辞めた後、すぐに求人を出したが、応募がなかった。
仕方ないので、担当営業の男子社員が掃除にきていたが、用事があったりすると、代務員の女の人が来たりした。
しかし、清掃の現場が増えてきたので、その代務員の人は新しい現場に行き、今度は別の新しい男の人が来るようになった。
この男の人が、40代ぐらいのわりと体格のいい男の人だが、仕事が遅くて気が利かない。
要するに、仕事が出来ないんである。
60代の小柄な女性の新井さんより仕事が遅い。
新井さんはずっと清掃の仕事をしてきたので、仕事の手の抜き方をよく知っており、時間以内に仕事が終わるように仕事をしていた。

他の人に聞くと、その男の人は営業の人でもなく、清掃の仕事をしている人でもなく、本社の内勤の男の人であったらしい。

とうとう現場で人が足りなくなったので、そういう人も派遣して仕事をさせているらしい。
辞めていった新井さんに、営業の男の人は退院したらまた他の現場を紹介したいので連絡してほしい、と言っていた。
新井さんは辞めた清掃会社からも「仕事をしませんか?」と連絡があったという。
私の方にも辞めたスポーツジムの清掃会社の社長から電話があった。
今は清掃の現場は増えていて、人が足りないので、人の取り合いになっている。

今は清掃会社も人手不足だ。

ここ数ヶ月前に本社採用になった中山くんという「ゆとり世代」の30代の青年がいる。
土曜日に行っているテナントビルの清掃の現場で責任者の八田さんが言うには、本社採用になので、これから徐々に中山くんに残業をさせていく方針らしい。
中山くんは、最初は朝7時から4時までこのテナントの現場の仕事で、月曜から金曜日勤務だった。
ところが月に2度、予備校の現場の清掃員が休むので、夕方5時から9時までその現場の仕事をさせるそうだ。
八田さんは軽く、朝7時から夜9時までだから、1日14時間労働ね、と言っていた。
そういう八田さんは、一日8時間働けばたくさんで、給料も生活できるぐらい貰えればよく、1日8時間以上働くのはまっぴらだという。
50代の八田さんの楽しみは休みの日のひとり旅で一泊か日帰りで温泉に行くことである。
本社の営業の人や内勤の人たちもほとんどがブラックで、1日12時間労働しているだろう。

掃除会社もブラックだ。

非正規も人手不足だが、正規社員は少ない人数で仕事を回しているので労働時間が長いのだ。
しかし、正規社員はそんなブラック化した会社でも表面は不満は言わず、会社にしがみついて働いている。
だからプレミアムフライデーなんていうのは絵に書いた餅である。


正規労働者は人手不足なので長時間で働き、一方で非正規労働者がどんどん増えている。
この雇用のアンバランスはなぜ解消できないのだろうか。

プレミアムフライデーを提唱しているのは政府と経団連
言っていることがずれている事に気がついていない。