非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

(三) ユニクロ帝国の光と影

(一) 豊かさのあとにくるもの
柳井氏は仕事に厳しいと言われているが、柳井氏自身は非常に勤勉にまじめに働いてきたことに間違いはないだろう。
そして、一経営者として見た時、同じ経営者からの柳井氏の評価は高い。
企業経営者が選ぶもっとも優れた「今年の社長」に柳井氏は2年連続で選ばれている。
中国の工場の営業マンは「買い取り金額が上がらない」ことに苦情を言っているが、中国の工場のカットソー部門の責任者、黄氏によればユニクロに対する評価は「業界一クリーン」であると言う。
それは、「100%買い取により、発注量が安定している。一度決めた取引条件が変わらない。柳井氏の性格は公平で誠実」だと言う。
それは、「他企業では発注後に生産量、生産仕様の変更や、納品後に勝手に返品し、支払い時に値引き要請など、取引条件がきちんと履行されないことが往々にしてある」からだと言う。
労働者と経営者の評価は違うのである。
では、私たち消費者にとってユニクロはどんな存在だろうか。
今まで衣料品は特殊な商習慣により、複雑な流通経路や委託販売により、私たちの手元に届く頃には販売価格は膨れ上がっていた。
そして、メーカー主導によるその年の流行色やトレンドが決められ、その衣料品を専門店やデパートで販売員に気を使い、見せてもらい、試着させてもらい、買わせてもらっていた。
これはすべて売り手の都合であり、買い手の都合ではなかった。
それがGAPをはじめとしたSPAと言われる新しいビジネスモデルができて、衣料品は安くなり、店頭で気に入ったものを、気を使わずに手に取り、試着して、気軽に買えるようになった。
それを柳井氏は「コンビニカジュアル」と言った。
気軽にふらっと立ち寄り、気に入ったものを手軽に買えるということである。
ユニクロZARA、GAPでは、表面的ではあるが、均等なサービスを受けることができる。
ところが今までの専門店やデパートでは上客なのか冷やかしなのか、慇懃な態度で値踏みをされながらサービスを受ける。
どちらが気が楽か、ということを考えれば答えはおのずと出る。
旧態依然の商習慣に、多くの人が実は不満を持っていたのだ。
柳井氏は視察で訪れたアメリカの大学の生協を見て、もっと気楽に物を買う売り場があってもいいのではないかと思ったという。