非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

点と点を結ぶ線の役割 抜け落ちてしまった知識を補強する

「社会を変えるには」小熊英二氏の講談社現代新書の本を読んだ。
今、私たちは情報の海の中で、何をたよりにその問題の本質を見極め、解決していけばいいのだろう。
たとえば、自分の興味の対象がそれぞれ点になっていて、経済、雇用、政治、歴史、外交、小説、サブカル、芸能とそれぞれの分野の本を個別に読んでいても、それで現代を読み解くことはできない。
また、きちんと系統だった勉強もせず、教育の機会がなかった自分にとって、自分の知識から抜け落ちてしまったものを自分で補足する機会がなかなかない。
しかし、世の中の事象というのは、自分の興味の点だけで存在しているものではなく、点と点が結びあい、線となって多くの問題が複雑に絡みあってできている。
個人的に起こったことや、日本や世界で起こっていることをおかしいと思ったり、理不尽だと感じたり、さらには怒りや悲しみの感情をもったとしても、自分の生活に追われ、自分の生活に折り合いをつけてそのままで終わってしまうことが多い。
残念なことに、世の中はなかなか変わらない。
いや、世の中はさらにひどくなっているとさえ思う。
でも、世の中を変えたいと思う。
というより、変わって欲しいと思う。
では、どうしたらいいのだろう。
それを考えてみよう、というのがこの本の趣旨である。
発行は2012年8月が初版、私が買ったのは2013年2月6刷発行のものである。
出版不況が叫ばれて久しいが、こういった新書が売れていることは個人的にもうれしい。
全頁500頁を超え、第7章からなるこの新書はかなり読み応えがある。
第一章では日本社会の現状として、「2011年に社会運動のテーマとして浮上した原発というものが、日本社会でどういう位置にあるか」を紹介している。
第二章では、「社会運動がどう変わってきたか」第三章では「それをふまえて、戦後日本の社会運動の歴史を描き、現代を位置づけ」ている。
第四章から第六章は「そもそも民主主義とはなにかについて」を紹介している。
第四章では「古代ギリシャ思想」第五章では「近代政治哲学」第六章では「現代思想の、それぞれ一部をあつかって」いる。
第七章では第一章から第六章までの内容を踏まえ「もう一度現代日本に戻り」「社会運動をやるうえで参考になりそうな理論をざっと解説」している。
この本を読んでみると、自分の知識がいかにパッチワーク的に抜け落ちてしまっているところが多いかに気付かされる。
私にとって、今まで点で認識されていた事柄、その点と点を結ぶ線の役割、抜け落ちてしまった知識を補強する役割を果たしてくれたのが本書であった。