非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

使い捨て

自分が非正規労働者という立場になったからか、非正規労働者の本をよく読むようになった。
たとえば、
    岩波ブックレットNo.699 非正規労働の向かう先  鴨 桃代
    岩波ブックレットNo.869 非正規公務員という問題
           問われる公共サービスのあり方    上林 陽治
    岩波新書   ルポ 雇用劣化不況         竹信三恵子
など。

鴨桃代氏の「非正規労働の向かう先」で、正規労働者の定義をみると、「直接雇用、無期契約、フルタイム、月給制、保険あり」となっている。
すると、この前辞めた職場は何と、正社員と同じ仕事をさせながら3年有期の准社員と言う人達がかなりの数にのぼり、この人たちも非正規労働者としてカウントすると、全社員のうち約半数は非正規労働者ということになる。
その中の記述には、漠然と感じていたことを、やはりみんな感じていたのか、と思うところも少なくなかった。
「実態―さまざまな差別」の中で、
Kさん(登録型派遣・勤続14年)
「職場のなかでの差別が、精神的に本当にこたえる。手帳もカレンダーも社内報も自分の席は抜かれて配られていく。とても傷つきます」とか、
「雇用が不安定であるがゆえに正社員との関係がぎくしゃくしていく。1ヵ月更新で働き、仕事ができなければ即刻打ち切り。だから、自腹を切ってでも勉強して質のいい仕事をするし、雑用も引き受ける。」それゆえ、「同じ職場の正社員から「派遣のほうが仕事ができると上司に怒られて困る」と「文句を言われたこともあった」という。
Aさん(公立高校・非常勤講師)
「担任の先生から生徒の父母に、「この人は本当の先生ではない」と紹介された」という。
「非常勤であっても、生徒の前で教えるときは「先生」である。賃金・処遇は二分の一以下でも、仕事は二分の一以下ではないのに、傷ついた」と書かれている。
さらに、非正規社員が日常感じていることがいくつか紹介されている。(以下参照)
 ・パートさん、派遣さんなどと呼ばれ、名前で呼ばれない
 ・机の名札が正社員はフルネームで書かれているのに、派遣は「H」(派遣のイニシャ   ル)しか書かれない
 ・仕事で必要な会議や研修に参加できない
 ・業務上必要なパスワード・アドレスなどが与えられない
 ・職場旅行に参加できない
 ・誕生祝、クリスマスケーキなどの祝い事の対象にならない
 ・社員名簿に載らない
 ・正社員にブレザー、同じ仕事をしている非正規にはジャンパーが支給される
などなど。
多分これは氷山の一角で、もっとさまざま場面で非正規労働者は日々差別されているのではないか。
こういうことに気にならない人もいるかもしれないが、感受性の強い人、さらに男の人より女の人の方が差別されている、と強く感じるのではないだろうか。
辞めた職場でも、非正規社員には自分の机やパソコンを与えられないことが多かった。
さらに非常に忙しい職場だから、非正規社員を雇ったにもかかわらず、他の社員は忙しすぎて仕事を教えることさえできず、数日間何も仕事を与えずただ仕事に関する資料だけを「読んでおいてね」と言ってそのままにしておくので、数日後に辞めてしまう非正規職員が後を絶たなかった。
正社員である新入社員が入ってくるので、今まで使っていた机とパソコンはその社員に与えるので、明日からはあなたにはパソコンも席もなくなるといわれ、怒って辞めてしまった人もいた。
こうした非正規労働者は日々雇われ、日々辞めていく。
雇用されるのも辞めるのもすごく簡単で、それこそ使い捨て、という言葉がぴたりと当てはまる。
非正規労働者は雇用の安全弁で、労働力を調整するために使い捨てされるが、そうした職場で人間としての尊厳も踏みにじられている、と言ってしまうのは言い過ぎだろうか。