非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

ため息

新しいプロジェクトが発足されたので、人員が必要になったが、組織には余剰人員がないので、求人をだすことにした。もちろん予算はないので、公共の求人組織に頼る。
日給は安く、業務は外回りなので、もちろん若い人は来ない。
やっときたのは、定年後に再就職した男性の職員である。もちろん身分は私と同じ有期の非正規職員だ。日給は私と同じで、仕事は正規職員と同じ、ただし満足な社内研修もしないで、外回りをさせられる。
その人を仮にAさんとしよう。一応、Aさんの教育係はいるにはいるが、その正社員の人は他のプロジェクトの仕事も抱えているので、Aさんの教育はなおざりで、ほぼ放任である。
だからと言って他の人が面倒をみる、ということもない。
Aさんが電話に出て、わからないことがあっても、近くに正社員がいるときは絶対に私に聞いてくることはない。
他に誰もいないときだけ、仕方なく私に聞いてくる。結局後から入った非正規社員からも私は差別されている、と感じるのは被害妄想だろうか。
ただし、Aさんは他の正社員の人からも相手にされていない。
なぜならAさんは電話で問い合わせがきても、自分で調べないで近くの正社員に聞く、その上同じことを何回も聞くからだ。
だから正社員の人たちは、Aさんのことを「Aさんは、まあ、いいかな」と言う。まあ、いいかな、というのはどうでもいい、ということだろう。
誰もAさんのことは期待していない。
でも、私はわかっている。
Aさんに期待していないように、私も誰からも期待されていない。
私は仕事に対する十分な研修も受けていないし、結局のところ能力もないのだろう、仕事に対する習熟度が低く、補助業務しかできない。
さらにこの職場では非正規社員は責任のある仕事はさせないことになっている。
だから私には自分の仕事と呼べるものが何もない。
自分の身分が安定せず、他の職員から一段下にみられていると感じることや、明らかに差別的な待遇を受けていると日々感じて仕事をしている。
そう思うとやり場のない怒りや悲しみで心の中がいっぱいになる。
時々どうして私はここにいるんだろうか、とか、何で私がここにいなくちゃいけないんだろうかとさえ思うことがある。
最初の頃は満足に電話の応対もできず、相手から罵倒されたりすると、もう帰ろうかと何度も思った。
しかし、この職場の社員がそれでは大切にされているかというと、案外そうでもない、ということもだんだんわかってきた。
今の私の救いはただそれだけである。
この組織は社員すらも大切にしない。
それでは何を大切にしているのか。
それは世間に対する体面だけである。