非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

TPPでどのように生活が変わるんだろう。

ご近所に住むK婦人は、独身の後期高齢者である。
1階は自宅で、2階4部屋はアパートにして人に貸している。
定年退職した会社は日本を代表する一部上場会社で、本社総務部勤務だったので、年金もあり、生活の心配はない。
悠々自適な一人暮らしで、定年後はある学会(創価学会ではない)の事務方のお手伝いを無償でしている。
もう10年になるが、年間交通費などで約140万ぐらいかかるが、全部持ち出しである。
私はこのKさんが、嫌いとか苦手ではないが、メンドクサイ人だと思っている。
どうして人は年を取ると、話がくどくなるのか。
同じ話をするのは仕方がないが、前置きの話が長く、肝心の話になるまで時間がかかる。
とにかく延々と話をされる。
学会の事務方の仕事を無償でやっているのを申し訳なく思っている方がいる。
それでお礼をしたいと思った。
その方の実家は農家をやっていて、精米を毎年贈ってくるそうである。
それで、そのK婦人にも毎年30キロ精米が送られてくる。
いくらなんでも30キロの精米はとても食べきれないので、もらってくれませんか、ということらしい。
その話にたどりつくまで、延々30分ぐらい話をされて、なんだか疲れてしまった。

この前もつかまってしまった。
少し前の精米の話から、今度は御夫婦二人で無農薬米を作っている方がいて、どなたかアトピー持ちの家族がいれば、紹介してほしいと言う。
農協とは考え方が違うので、助成金が出ず、自分たちで販路を探していかなければならない。
TPPのおかげで、中小の農家は大打撃だと言う。
この話も随分と散らかって、延々と話しをされた。
あぁ、失敗。
これからはなるべく会わないようにしよう。

前の精米の話は、ネットで調べれば困っている人たちがいるはずだから、そういうところに寄付したらいいではないかと言ったし、今回の無農薬米も、メルカリなどのフリマやヤフオフなど、ネットで探せはどこかで売れるのではないかと言った。

しかし、この年代の方は、ネットが苦手である。
楽天の会員登録もできなかったそうである。
手伝うことも可能だが、こういう方は一つ頼みごとをして、それをしてくれると、次から次へといろんなことを頼んでくるので厄介である。
だから、口では助言するが、絶対に自分からは手伝わないようにしている。

このK婦人の話は本当に限りがなく、話はTPPに及び、安倍政権の批判を延々と話をされる。
そういうことはわかっているのか、と私は内心では納得して聞いている。

TPPのアメリカの一番の目的は、堤美果氏の指摘では日本の保険業界だという。
この前、何かの本で読んで気になっていた、ヘンリームーア監督の「シッコ」という映画を遅ればせながら見た。

日本の健康保険は、企業が保険組合に加入して、会社と社員がその保険料を折半で負担する。
その会社員に扶養家族がいる場合は、その家族も健康保険組合に加入される。
一方、それ以外の人は国民健康保険に加入することになる。
国民皆保険と呼ばれ、1961年に体制が整えられた。

しかし、アメリカでは、日本のように国が管理している健康保険制度がない。
あるのは一般の私企業である製薬会社が運営している保険だけである。
だから、その保険に入るだけの収入のある人しか加入することができない。
そのうえ、その保険会社は指定した病院でしか医療が受けられないし、手術や検査も保険会社の審査を通らないと受けられないんである。
救急車を利用などしようものなら、大変なことになる。
救急車の費用もさることながら、一刻を争う病態にも関わらず、保険会社の契約している病院まで搬送されるのである。
とにかく、アメリカでは医療費がバカ高い。
何か重篤な病気にかかった場合、医療破産に陥るケースもある。
そして、保険に入れない低所得者は保険に未加入なので、十分な医療を受けられない。
ヒラリー・クリントンは、日本の保険制度を非常に素晴らしい制度といい、何とか実現しようとしたが、大手保険会社の妨害に会い、実現することができなかった。
その後、オバマが大統領になったときに、オバマケアという健康保険制度が成立した。
しかし、この制度も調べてみると、なんだかとても複雑でむずかしい。
決められた期間に加入手続きをしなければならないとか、罰金を取られるとかいう。
日本は3割負担で医療費が安い、とアメリカに住んでいる日本人は言うが、、「シッコ」の映画によれば、フランスもイギリスも、最近アメリカと国交を回復したキューバでさえ、医療費は無料である。

TPPによって、日本がどのように変わったのか、実感としてはまだわからない。
しかし、農業や漁業を営んでいる人たちにとっては死活問題だろう。
そして、このTPPの条文は、すべて翻訳されておらず、全貌を理解している人が日本で一体何人いるのだろうか。

本当に忙しい時につかまると、大変なことになるが、ご近所のK婦人の話を聞いて、そうだ、この前まであんなに連日報道されていたTPPの問題は、今はほとんど報道されなくなったことに気が付いた。

なんだか何もかもがなし崩し的に変わっていくが、どんどんどんどん悪い方向に行っているように思えてならない。