非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

ブラック企業

ずっと失業していた友人が、やっと就職をした。
どうもその会社はブラックだったらしく、入って3ヵ月後ぐらいに、思うように成績が上がらないので辞めてほしいと言われた、とメールがあった。
それが1年ぐらい前のことだ。
「はい、そうですか」と辞めるわけにはいかず、その後取締役と話をしたと言っていたが、そのまま連絡がなかった。

ところがつい最近連絡があって、会ったが、やはりまだその会社に勤めている。

仕事は多忙を極めているので、帰りは終電近くになることが多い。
年収と勤務時間を聞いて計算すると、時給1000円ぐらいである。
人の年収や勤務時間を聞くと、時給でいくら、と最近ではつい計算してしまう。

彼女は普通の男の人より有能で、仕事はよくできるし、かなりの量の仕事をこなしていると思う。
話を聞いた限りでは、ほぼ男性社員と同じ仕事をしているのではないか。
しかし、夏のボーナスは普通の男性社員のようにはもらえなかった。
社長にしてみれば、「xxさんは女の人にしてはもらっている方だから。」
と言われたそうである。
社長はどうせ女なので、男の補助役ぐらいにしか思っていないらしい。

社長はすでに70代で、男性社員はその社長が開拓した仕事に未だにぶら下がっていて、新しい仕事を開拓することができない。

長くいるその男性社員たちは、ルーティンの仕事しかしない。
ほぼ毎日出かけないでだらだらと会社で時間をつぶし、たまに気分転換にちょっと出かける。
終業時間が過ぎてもなかなか帰らず、その後ばらばらと帰るように見えて、結局は会社の近くの居酒屋に集合し、会社の愚痴や上司、経営者の悪口、噂話をする。
仕事が終わってもさっさと自宅に帰らないのは、自分がいないと他の人に自分がなんと言われるかが怖いからだ。
彼女はそうした男性社員のことをわかってはいるが、マイペースである。
たまに男性社員のいる居酒屋に飲みにも行くが、疲れている時はさっさと帰ってしまう。

ずっといる男性社員にしてみれば、ルーティンの仕事をしてそこそこの給料をもらっているのだから、ぬるま湯的で居心地がいい。

しかし、その社員以外の、途中から入ってきた社員は、新しい仕事を開拓しなければならない。
それが思うように成績が上がらないと、会社側はどんどん辞めさせるか、辞めさせるように仕組む。
彼女も同期で入った男性社員2人が仕事ができなかったので、同類だと思われたらしい。
しかし、彼女は辞めなかった。
自分を採用した取締役に相談しに行った。
その相談役はもうその会社を去ったそうだが、その取締役が会社側に話をつけたのだろうか。

彼女の上についている上司の言うことを、なんでもはいはいと言って、仕事を難なくこなす。
彼女の前の女性社員はいつもミスばかりだった、というが、よくよく聞けば、指示をするその男性社員が無能なだけだった。
後から入った彼女は、今までミスばかりだった仕事も要領よくこなし、さらに新しい仕事も取ってくる。

聞けば聞くほど馬鹿らしいので、もう辞めたらいいのではないかと言ったら、
「私がいなければこの会社は回らない、ということを誰もが認めるぐらいになってから、男の人と同等の待遇を要求しようと思う。
でも、まだそれには早いので、そのタイミングを待っている。」と言う。

まわりの人の無能さもよくわかっているが、それも黙って見ているらしい。

「私なんていらないですよね。」なんて上司にわざわざ言いに行く私とは大違いだ。
私などよりもずっと大人なのだ。

自分の立場が理不尽だ、と声高に言ったところでそれが改善されるわけではない。
相手に自分の能力を認めさせるまで、ガマンする、というわけである。

しかし、これがまだ学校を出たばかりの人だとそうはいかない。
まず、社会経験がないので仕事ができないのは当たり前だ。
経営者は古くからいる社員は辞めさせることができないが、このままだとジリ貧だということもわかっている。
だから新しい社員を雇って、新しい営業の道を探したい。
しかし、新しく入った社員が入ってすぐに成績を上げることなんて、なかなかできない。
その上、今の会社は人を育てないで、入ってできなければ簡単にクビを切ってしまう。
彼女のような会社でじは、ずっと同じ仕事にしがみついていた人たちは、新しく来た人に仕事を教えないだろうし、育てることもしないだろう。
なまじ育てて自分よりできるようになっては自分の立場が危うくなる。

そんなふうなので、新卒やまだ社会経験の浅い社員は、そういった古参社員や経営者の思惑で辞めさせられてしまうのだろう。
ブラック企業はそれぞれだが、雇用なんて全然流動的ではないじゃないか。

こんなことをずっとしていると、日本はどんどん悪くなる一方だ。

彼女はひょうひょうとしているが、私は彼女が彼女の実力を皆に認めさせる前に、体を壊さないか、それだけが心配なんだけど。