非正規労働者めぐろくみこのブログ

非正規労働者が日々感じていることを書いたログです。

セクハラ

女性蔑視のやじが都議会の他にも衆院総務委員会でもあって、日本のマスコミどころか世界中で話題になっている。
やじを発した人物はともに自民党議員である。

一番最後に勤めた会社で、年末の納会だったか夏の暑気払いの席で、独身の経理社員と私に向かって、社長が「君たちは結婚したらどうかね」と社員全員の前で言われたことがあった。
社長は当時は60代半ばぐらいの男性で、ちょうどやじを飛ばした自民党議員とほぼ同じ年代である。
そう言われたからと言って、周りの人がどよめくでなく、私自身もごく普通に「私はともかく、○○さんは私のことを好きではないんじゃないですか」と言ったのだった。
「結婚したらどうかね」と言った社長には悪気はないんである。

その会社の前に勤めた会社は小さい輸入商社のような会社だった。
社長の息子が専務という完全な同族会社で、社長一族は会社のお金は自分のもので、会社は自分の私物のように思っているような会社だった。
これは、その会社に勤めていた頃に経理社員として入ってきた女性に聞いた話である。
 
その女性は前はとある小さいが、安定した商品をいくつか扱っている会社で経理を任されていた。
前は会計事務所に勤めていたが、会計事務所は私たちが思っているほどいい待遇ではないので、転職をしてその製造メーカーに入ったのである。
その会社も同族会社で、社長の息子が次期社長になるそうである。

彼女はアラフォーのシングルマザーだった。
そして、その会社にはアラフォーで仕事ができないので、会社のごみ係のような仕事をしているマザコンの男がいた。
今は世の中が厳しいので、余計な人材は会社には置いておかないが、昔は使えない社員でも、会社では何とか仕事を与えて社員として雇っておく余裕があったのである。

彼女がシングルマザーとしてその会社に入社してくると、会社の社長やその取り巻きの幹部社員たちが彼女とそのマザコン40男を結婚させようと画策したそうだ。
最初、彼女に「君、xx君はどうかね?」とそのマザコン40男と結婚したらどうかと言われたそうだ。
そこで彼女は「いいえ、私はもう結婚はコリゴリです」と即座に断った。
しかし、一方のマザコン40男は社長や幹部社員から「あの経理の女の人はどうかね?」と言われ、舞い上がり、結構その気になったらしい。

「一緒に帰りませんか」と言って、彼女の帰りを待つようになった。
彼女はその男が大嫌いだった。
その男は普通の人に比べて少し頭が弱く、一方会計士の資格をとり、会計事務所でバリバリ働いていた彼女とは当然釣り合うはずはない。
彼女はその男をなるべく避けるようになった。
しかしある時、他の社員から社長やその取り巻き連中の計画の内容を聞いたのだという。
それは、みんなで旅行に行き、彼女が寝ているところをその男に襲わせる、というものだった。

社長連中の言い分は「女なんてものはカラダの関係ができれば言うことを聞くようになるので、一度襲わせればいい」というものだったという。
彼女はそれを聞いて、とてもこんな職場では働けないと思い、すぐに辞めてしまった。
辞める時に社長の息子はものすごく申し訳なさそうに、「本当にすまない」と頭を下げたそうである。
社長の息子はアメリカにマーケティングだか経営学の勉強で留学した人間だったので、女性の人権やフェミニズムについてはよくわかっていたのだろう。
 
「君たち結婚したらどうかね」と言われたのは3年前だか、4年前で、「女はカラダの関係ができれば言うことを聞くんだ」と言っていたのは10年前ぐらいである。
「早く結婚して子供を産まないとだめだぞ」とやじを言ったのはついこの前の事である。
これらのことを言ったり、画策をした人たちは悪意はなく、そして自分は相手に対して失礼なことをしている、という自覚はまったくないだろう。
少なくとも、10年以上前から、世の中、何も変わっていない、ということはよくわかった。

野次を飛ばして、女性議員に謝ったとしても、言った当人は本当は何が悪いのかわかっていない。
こういう人たちに、日本の政治を任せていいのか、というのは今度は私たちの問題だと思う。